フラッパーのハーフドール。
さて、ハーフドール。半分人形というワケだが、スカートの部分をピンクッション(針山)にしたり、ブラシにしたり、ティーポットカバーの取っ手にしたりする磁器製の人形で、今でも手芸のパーツとして売られていたりする。
ネットでそれらの参考画像を拾ってみた。
ピンクッション。
そして、ブラシ。
ティーポットカバー。
ハーフドール は大別して、髪を上にあげてそびえさせるマリーアントワネットやヴィクトリアンレデイと、断髪ボブスタイルのアールデコ期のフラッパーに分けられるが、当ブログが注目しているのはアールデコのフラッパーだ。
外国のオークションのサイトでも、アンティークショップのサイトでも、ハーフドールをどれもこれもアールデコとひとくくりにしていたりするが、造られた時代はアールデコの時代だが、全くアールデコとは別物のファッションがアールデコとされている場合がある。
オールドノリタケの絵皿でも、アールデコ期の物で、こんな絵柄の物がある。
たしかに、色使いやら構成は、アールデコだが、肝心の女性の髪形は、天にも届きそうなマリーアントワネットで、ウエストはコルセットでギュッと締め上げられていて、前時代的で、これをデコレデイと呼んでいるのは間違い。
美術の常識がある方ならば、吹き出してしまうマンガチックなものだし、シロートでも違和感を感じるが、輸出陶器の持つ誤解やら勘違いが、レトロなテイストを感じさせて、違和感が面白くもあって、他人に悪趣味と言われようが、ハマっている人もいる。
さて、今回のハーフドール、フラッパーガールではあるが気品がある。
お決まりのクロッシュと、ローポイントのラペルのコンテンポラリーなジャケット。人形がファッション通信でありメディアだった20世紀の始めの事だ。 H11cm
といいつつ、まあどう見てもコピーだな。 600円だもの、ついでに買っておいた。
オリジナルはドイツ・チューリンゲンのFasold & Stauch。
絵付けのセンスが違うよね。写真はイーベイから。
Fasoldのコピーのメイドインジャパンも多い。あの第一次世界大戦前後のドイツ製品排斥の時代だ。この時代のアメリカ市場のハーフドールはほとんど日本製になっていたようだ。
アメリカのネットでは、『私たちはアンティークのハーフドールをたくさん持っています。注文をいただけば、それから完璧に型を取って50ドル程度で一週間以上お時間を戴けばコピーをお作り致します。』なんて会社もある。チャイナペイント用に白生地の物も売られている。これはこれで楽しそうだが。w
コピーで、こんなに語るのもナニだが。
20世紀前半のアールデコ期は、社会が大きく動いた時代で、人々の考え方に大きな変化があり、とりわけ女性の社会進出が大きく進んだ時代で、ファッションが大きく変わった時代であり、歴史好き、ファッション好きのコレクターとしてはタマラナイ時代だ。
ただ、残念なことに、フラッパーのハーフドールは、ヴィクトリアンレデイに比べて数が少ない。クリノリンのスカートでないとピンクッションやポットカバーが作れないからかな。
次は、ラベルが残っているFasold & Stauchの本物を。
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