和傘が載ったアールデコ期のヴォーグの表紙(復刻版)。
オールドノリタケのデコレデイに始まって、この春手に入れたフラッパーのポーセリンのドアノッカーから、フラッパーのハーフドールに進んで、バッシングフラッパーが日本の日傘を使っていることに気が付き、アールデコのファッションを調べていくと、面白いほど蛇の目傘が見つかる。
老人は、かって日本一の和傘の産地だった岐阜市の加納在住ということで、面白いテーマを見つけたものだと、色々と調べてみた。
かって加納の和傘が海外にも輸出されていたという記録はあるが、それがアールデコ期のファッションとして人気だったという記録は地元にはない。
ただ、記録がないから、事実がないという事ではない。地元だから言うが、あの傘貼りの爺様婆様たちが、そんな洒落たことに関心が無かっただけで、その時代は面白いほど売れて、海外へも売れていったから、その先でドウかなんてことを考えていたわけではないから、海外にも売れたという認識だけで終わっているのかもしれない。
日本の和傘、岐阜の加納の和傘が1920年代から30年代のヨーロッパやアメリカで、
アールデコ期のフラッパーファッションの重要なアイコンであった。というコトを証明するには、どうしたら良いのだろうか。
先日来、フラッパーの写真やら、有名な版画家の作品を幾つかアップしてきたが、決定打が欲しい。
ならば、当時のファッション誌の権威であるVOGUEの表紙に和傘が載ったなんて事実がないか調べてみた。
雑誌の表紙なら年代もハッキリしているし、証拠として最高だ。
二点程、和傘が載ったヴォーグの表紙の復刻版ポスターをアメリカから手に入れた。
先ずは、1919年7月1日号の表紙。
Vogue Magazine Cover-Helen Dryden illustration
イラストレーター ヘレン・ドライデン(米)
July.1919 Hot Weather Fashions
(1975年復刻)
さて、海辺に海水浴用のテントと傘が三点。女性のワンピースの模様は浴衣地のようで模様は扇子。スカーフは着物の模様のようでジャポニズム。
和傘としては、軒のカーブがおかしい。裏側の構造は蛇の目傘の糸かがりがあるが小骨と糸かがりを混同してしまっていておかしい。柄竹が真竹とは思えない。大きなハジキがあるが、この構造では傘をとじることは不可能だ。イラストレーターの和傘についての誤解の範囲だろうか、それとも東南アジアあたりの傘なのか。女性の頭にはターバンがあるではないか。ペーパーパラソルではあるが、日本の物かどうかは不安がのこる。
傘のディテールは変だが、波の描写は浮世絵風でもあり、全体としてはジャポニズムではある。
ヴォーグはアメリカとフランスでそれぞれ独自に編集発行されていたはずだが、英語表記だからアメリカ版。
そして、1924年3月上旬号の表紙。
Vogue Parasol Pretties Cover
Pierre Brissaud
イラストレーター ピエール・ブリゾー(仏)
French Art Deco Paris Fashion Umbrella
(1980年復刻)
この時期のファッションプレートには日本のパラソルと表記された物がある。
復刻版ポスターだけれど、恭しく額装してやろうと思う。
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