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2015年6月20日 (土)

椅子を磨く日々。

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昔、信州の松本の中心部、女鳥羽川沿いに「まるも」という喫茶店があって、今もあるかどうかは定かではないが、ここの椅子は、池田三四郎の提唱した“松本民芸家具”で、この喫茶店の親父は信州文芸の中心でもあって、松本の文化人が集まる喫茶店でもあった、はずだ。

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オイラ、百貨店で「信州物産展」も担当していたから、好きな信州、とりわけ松本には用も無いのに出張をでっち上げて何度も遊びにでかけていたが、企画担当としては大事なことで、遊びながら随分と仕事をさせていただいた。当時はまだ30そこそこだったワケだが、信州や民芸家具というと随分と年寄り趣味だと思うかもしれないが、当時もっともオシャレだった“アンアン”やノンノ“”“るるぶ”といった雑誌がしきりと信州の特集を組んだりしていて、それはとっても“ナウい”ことであったんだ。

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さて、内職して大学の授業料を支えてくれた母親のことを思うと、ヒッピーにもなれなかったし連合赤軍にもなれなかった若者が社会にでて、しかしどこかでいつも管理社会からの脱出を夢見ているところがあって、その夢のかたちが喫茶店の親父で、雑誌が紹介した、信州松本の“まるも”の親父の日常は、傷ついたサラリーマンの憧れだったのだ。毎日、開店前に椅子を磨いて香りの高いコーヒーで客を迎えるという妄想だったワケだが、妄想は妄想にしておいて良かった厚生年金の有難さ、みなさんいかがお過ごしでしょうか?

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さてさて、ダンテスカスタイルのスペイン製のアンティークの椅子。その頃、手に入れた椅子だからもう30年以上たつわけで、買った当時が80年以上前という触れ込みだったから、ゆうに百年は超えているわけで、文句なしにアンティークなわけだ。

ダンテスカ、つまり「神曲」の詩聖ダンテの書斎で使われていたものと同じスタイル。背板の、斜め帯(ベント)と王冠の紋章そしてアカンサス模様、肘掛や脚の三日月の彫刻、X部のロゼット飾り、ムーア族(イスラム)の色濃いムーリッシュスタイル。

この椅子をブログに初めてアップしたのが06年の12月だけれど、その頃の写真と比べると随分と磨き上げたものだ。

ヒッピーにも、連合赤軍にも、喫茶店の親父にもなれなかった老人の、椅子を磨く毎日。悪いか?

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