エドワード7世のヴェスタケース。Gentlemen, you may smoke !
嫌煙の、母ヴィクトリア女王が崩御すると、エドワード7世は、即位式の晩餐会で「Gentlemen, you may smoke !」(諸君、吸おうではないか!)とタバコに火をつけた。
それは陰鬱で退屈なヴィクトリア女王の時代の終わりであり、六十年も皇太子として待たされたエドワード7世の時代の幕開けであった。
「Gentlemen, you may smoke !」
諸君、吸おうではないか!
美食家で 艶福家で ヘビースモーカー であったエドワード7世の発声で、嫌煙のビクトリア女王の時代が、偽善の時代が、煙のように払拭された瞬間であった。
ヴィクトリア女王 在位 1837(天保8年)-1901(明治34年)
エドワード7世 在位 1901(明治34年)-1910(明治43年)
さてさて、そんなこんなで、エドワード7世の時代を、そして、エドワード7世を語るに相応しい、面白いアンティークを手に入れた。
ヴェスタケースつまり、マッチ入れ。シルバープレートのボディにエドワード7世とアレキサンドラのメダイヨン。戴冠式記念の1902年。ベルエポックの華やかなデザイン。
現代のライターの原型ともいえるロンソンのライターが発売されるのが1913年(大正2年)、ジッポーのオイルライターが発売されるのが1932年(昭和7年)。それまで、愛煙家の紳士淑女はデザインを凝らしたヴェスタケースでマッチを持ち歩いていた。
このカテゴリーも、日本の骨董の根付けや煙草入れのように、意匠をこらした面白い世界が、いや、深い沼がひろがっている。
ちなみに、わたくし、禁煙 三年目であります。
冒頭の写真のパイプは私の超愛煙家時代のなごり、ブライヤーのパイプは私の自作であります。
1902 Coronation Vesta case, the case is silver-plated, the center has a photograph of Edward V11 and Queen Alexandra.
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