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2010年1月13日 (水)

魔界ドレスデンのCMフッチェンロイター製ブルースティール・イリデッセントのアイスクリームカップ。

L1040418 なんとも美しいブルーのラスター彩のカップではありませんか。ティファニーのイリデッセントガラスを彷彿とさせる見事な青であります。世紀末あるいは20世紀初頭のテイストを色濃く感じさせます。

ブルースティール、あの高級時計の針の青色であります。時計の針のブルースティールは、鉄の針を熱して焼きいれをして色をだします。このラスター彩も、釉薬の表面に薄い金属の膜をつくり、酸化によって微妙な光の反射を得ます。

ティファニーのガラスというより、貧乏で昭和な団塊堂は、ビー玉やオハジキを思い出してしまいますが、しばし貧しかったあの時代の事は忘れて、美しくて華麗な、そして魑魅魍魎のヨーロッパ・アンティークカップの世界でお遊び下さい。

L1040432 このカップの窯印であります。先日のローゼンタールの素磁を使った金彩アクアジュールのカップと同じように金で薔薇が描かれています。

この金の薔薇はドナート工房(Donath & Co. Dresden 1872-1916)のようです。その横のWのマークはリヒャルト・ヴェーズナー(リティラー 小売 1895-1956)のマークであります。さて、大胆にも団塊堂、この金の薔薇に隠されたマークこそ、このカップの謎を解く鍵であると、金の薔薇を少し削って見ました、しかし完全に金の薔薇を削ってしまうと、この金彩がドナート工房であるという証拠も消えてしまいます。中途半端な状態でマークがはっきり見えないのが残念ですが、この写真をクリックすると大きなサイズになります是非ご覧下さい。

L1040439 非常に不鮮明ですが、わが師・和田泰志先生は「マークは、ほとんど見えませんが、リモージュのシャルル・アーレンフェル(アーレンフェルド)だと思います。このメーカーは贋作用白磁提供者で、「アンティーク・カップ&ソーサー」講談社刊、の217ページの白磁を製造していたことがわかっています。」と。

L1040417 さて、 「ヨーロッパ アンティーク・カップ銘鑑」実業之日本社刊の28ページを開くと。L1040409_3

14, Aラム工房A.Lamm(絵付け)の田園人物図の脚付きのカップが脚部の装飾といい、カップ内側口縁部の金盛の装飾が同じデザイン。

29ページのカール・リヒャルト・クレム工房Karl Richard Klemm クレム工房は、このカップのテーマである幼児像を多く残している。

混迷の陶磁林に迷い込んだ私に、和田師は結論として次の五つを示してくれました。

○ 金の薔薇は ドナート工房 金彩

○ Wのマークは ヴェーズナー(リテイラー 小売)

○ 絵付けは カール・リヒャルト・クレム工房

○ 白磁は リモージュのシャルル・アーレンフェル

○ その総元締めはCMフッチェンロイターである。と!

L1040414 さて、最後のフッチェンロイターつながりであります。

前回のブログでは、ローゼンタールがウイーンの贋作用の白磁を提供していた事を書きましたが、後に合併するフッチェンロイターもまた、マイセン風だったりした物をプロデュースしていた様です。

もちろんこのカップは、ドレスデンと銘打っているわけで、贋物というわけではありません。ヴェズナーという店のマークとドレスデンと銘打っているわけで、前回の金彩のカップとは志が少し違います。そして、評価出来るレベルの物です。

このカップを構成する、ドナート・クレム・ヴェーズナーの三社は1918年合併してCMフッチェンロイターのドレスデン・スタジオとなります。この三社は、もともとがフッチェンロイターの影響下にあったとも言える。また、つまりこの作品は合併する1918年以前の作と考えられます。

このカップに凝縮された、ドレスデンの諸工房の技術力。前回のローゼンタール素磁のウィーンとコールポートのハイブリッドな贋物。ローゼンタールとフッチェンロイターの合併。

魔界です魔界、ドレスデンは魔界だったのです。

ドレスデン・パリ、ヨーロッパを覆う魔界・ユダヤコミュニティーとアンティーク陶磁なんて面白いテーマですね。L1040427_2

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コメント

IWANA様
今回一連の記事を拝読し、私もいろいろなことを再確認できました。
ドナート工房+クレム工房+ヴェーズナーの三者が、CMフッチェンロイター・ドレスデン支店の本体を構成するので、これら全部の特徴を備えた合作品だと思いました。
アーレンフェルドは名前から、元はユダヤ系のドイツ人であろうと考えられますので、さらに興味は深まります。

投稿: 和田 | 2010年1月14日 (木) 21時06分

和田先生
戴いた資料のお陰で面白いブログを書くことができました。ありがとうございます。
白磁がリモージュという辺り、陶磁器の世界での国境を越えたユダヤコミュニティも感じられ、本当にアンティークカップの世界は面白いですね。
もう少し景気が良ければ、団塊の世代がアンティークの世界を盛り上げる事が出来るのに、残念です。
それにしても、我々コレクターにとって1996年に先生の「ヨーロッパアンティーク・カップ銘鑑」が出版された意義は大きいものがあります。それまでのアンティークファンの情緒的な愛玩の世界から、歴史的学術的興味へと我々を引き上げた功績はとても大きいと思います。
日本のコレクターにとって1996年は、アンティークカップ銘鑑以前とか、銘鑑以降とでも言うべき画期的な事であったと言えると思います。

投稿: 団塊堂主人 IWANA | 2010年1月14日 (木) 23時12分

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