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2009年5月 5日 (火)

English Softpaste Landscape Painted Cup & Saucer

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小豆色のペイントに大きめのメダリオン、金彩のボーダー、マイセン風の、あるいはウイーン風のデザイン。ランドスケープはピクチャレスク・イギリス式風景庭園を思わせる風景画が手描きされている。デザインの着想はマイセンやらウイーンでも、全体は間違いなくイギリス的である。

さて、豚インフルエンザの今日この頃、しかしゴールデンウィークど真ん中で、今年も海外海外とヤカマシイけれど、海外海外と海外に出かける学生を見て、海外旅行をしたところで、「ロバが馬になって帰ってくるわけではない。」と言い放った評論家がいたが、18世紀のヨーロッパでは貴族階級の子弟教育見聞のためヨーロッパ諸国への旅行が流行した。

090420_003 GT 、つまりグランド・ツアーと呼ばれる大旅行の事で、多くはイタリア・ギリシャをめざした。ロバは馬にはならないけれど、金にあかせてギリシャの遺跡を持って帰ったり、ローマの神殿を国に帰って再現したりはできる。ギリシャ神話やローマの美術は、ヨーロッパ貴族のグランドツアーを経た者のアイデンティテーでもあるかのように、貴族的教養の中心とな.る。ロバが馬となったかのように。

18世紀のイギリスに於ける、ゴシック風の廃墟趣味庭園の流行です。カントリーハウスの広大な庭園の遠景にローマの神殿風の廃墟を配し、ガセボの周辺にギリシアの彫刻を配す。美の民族フランスを、イギリスが庭園で上回った瞬間です。

090420_004 18世紀から19世紀半ばまでのイギリスのカップは七割がた裏印がありません。このカップも裏印はありません。その時代の物でしょうか。放蕩し放題の王様の生活を支える重税から逃れる為、各窯元は売上を捕捉される事を避ける為マークを付けずに売ったという説があります。大陸のマイセンやセーブルが官立の窯で、王侯貴族を客としていたのに対し、イギリスの窯は産業革命によって豊かになった市民階級を対象としていた為、ブランドに捉われる事無く、実質重視だったとの見方もあります。

090420_005 このカップ、ソーサーの裏には4438という番号が入っています。絵師の番号でしょうか、あるいは44か38が年号であるかも知れません。いずれにしても19世紀のスタッフォードシャー地方で焼かれた物の様であります。

セーブルやウイーンのように洗練しきれず、どこか武骨なイギリスの物。この赤に、ロンドンのナショナルギャラリーの何処かの部屋の壁紙を思い起こしたのだけれど、遠い日の事で不確か。

と、ここまでは、既に一週間以上前に用意していた原稿だけれど、心情的には少し変化があって、というのも先日の京都行きの高麗美術館の印象があまりにも強烈で。このブログの軌道修正、いやコレクションのあり方、暮らし方など夜通し考えていて、朝になってしまいました。

このカップなど、団塊堂的には、最もテイストに合っているわけで、お気に入りの物なのですが。

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コメント

ボルドーの赤、いい赤ですね
どうしても地塗りの仕方を考えてしまいますね
糊を塗りつけてから絵具の粉をまぶしたのか?どのようにして均一の色に出来たのか?
この当時はもう吹付け技術は有ったのでしょうか?
大きな画像をアップして頂いて何時も勉強にり感謝です
アップになっても構図や理に叶った筆を入れて行きたいと思いますが、未だアップに耐える作品が描けましぇ~ん

投稿: boss | 2009年5月 5日 (火) 07時59分

boss様

地塗りの方法なんて、さすが、経験者しか気付かない事ですね。ハンドルの付け根あたりは筆の跡があります。

投稿: 団塊堂主人 IWANA | 2009年5月 5日 (火) 15時32分

IWANAさま
この小豆色、20代の頃に愛用していた口紅の色と同じ。ついでにこのコメントを書きながら飲んでいる赤ワインも同じ小豆色です。とても好きな色です。
一見、繊細で傷つきやすい柔なタッチで描かれているのかと思いきや、アップで見ると筆をたたきつけたような荒っぽさもあって、実は私も傷つきやすく、しかし立ち直りも見事なのです。
ところで把手を後ろへ持って行くこのタイプのものは「大陸式」と言うのでしたね?どう考えたって飲むには不便ですよね。そこに何か深い歴史や事情があるのでしょうから、先日届いたばかりの和田先生の青い本をじっくりと読んで勉強してみます。これがまたカップを集める際の楽しみのひとつ。

投稿: annie | 2009年5月 7日 (木) 23時01分

annie様

という事は、このカップでコーヒーをすると、二十歳の頃のアニー様とする事が出来るのですね。お宝です、IWANAのお宝です。  

西の方から切削工具が飛んできそう!

投稿: 団塊堂主人 IWANA | 2009年5月 8日 (金) 19時01分

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