ANTIQUE IRONSTONE CUP SAUCER SIAM J.CLEMENTSON 1850
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坂田和實さんの「古道具坂田」の店頭でのエピソード。
すこしまえ、店に二十代の女性がきて、話をしていると、こういったそうです。「白洲正子さんたちは、気の毒でしたね」。彼女は、皮肉をいうような人てはなく、そのときも真顔でした。
つまり、こういうことです。白洲さんたちの時代は、物をえらぶときの選択肢が、いまよりもずっとすくなかった。だからたとえば、徳利やぐい呑みのようなふだんづかいの器に、何十万、ときには何百万もだしたのではないか。いまならおなじくらいみためもよく、つかい勝手もよい物が一万円で買えるのに。・・・・・・中略
ほんとうのことをいえば、「気の毒」なのは青山二郎や白洲さんたちではなく、彼らの言葉をうのみにして、すでに値がつりあがっている物を、ほかに選択肢があるにもかかわらず、買う人たち、または、よいと思ってしまう人たちです。
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「完全な物に美を感じる」アンティークの世界にあっては、これなど永遠に“名品”とは評価される事などないであろう、まさに普段使いの雑器である。アイアンストーン(白色硬質磁器)のトランスファー(転写プリント)のハンドルレスのカップ&ソーサーである。19世紀というからハンドルレスはただ安価な商品群であるからと考えるべきだろう。
さて、骨董屋の店先で美しい女店主に、この器で、美味しい日本茶など出されたら、団塊堂など人生をもう一度やり直そうと思ってしまうだろう。この器に、冬の寒い日に暖かいタップリのカフェオレなど淹れられたら、夏の暑い日に冷たく冷えたグリーンティーなど出されたら、愛を惜しみなく奪ってしまうかもしれない。
日本の染付けやら印判に拘ったコレクターがいるようにこのトランスファーなど集めたら面白いとおもう、そして団塊堂としては滑稽な勘違いの産物であるウイローパターンよりもこういった絵柄の方が好きだ。
サイズは大ぶりでカフェオレボールほどもあり。使って育てるというやりかたは「アンティーク」の世界には無いのか?と思う。
団塊堂、今夜から、遠慮なく使ってみます。
(青)ANTIQUE IRONSTONE CUP SAUCER SIAM J.CLEMENTSON 1850
(赤)ANTIQUE IRONSTONE CUP SAUCER VENUS PW&C 1850
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コメント
はじめまして
素敵なブログ、素敵な器ですね。
おっしゃるように、今は本当に色々なものが選べるのではないかと思っています。楽しいですね。
選択肢が増えると、意志が重要ですね。
自分にとっての心地よさ、そんなテーマを持っています。応援します。ぽち!
投稿: 骨董品 / 骨董市ネットギャラリー | 2009年4月 1日 (水) 20時45分
骨董品ネットギャラリー様
お立寄り有難うございます。またお立寄り下さい。
投稿: 団塊堂主人 IWANA | 2009年4月 2日 (木) 21時55分
やったですよ〜。私もIWANAさんに負けじと昨日、今日e-bayで5〜6点のカップをウォッチングしましたよ!おっしゃるように今が買い時でしょう。良い物が安くありました。ところでこれは和田先生には内緒の話しなのですが、ほしかったフィッシャーマンのティーボールを見つけた瞬間に良く見ずにゲットしてしまい、それがコピー品のウースター製だったのです。ここだけの話しですが・・・。あれだけ丁寧に説明して頂いたのに間違うなんてとても言えません。でも本当にきれいな品でしたので良かったです。ところで今回のティーボールも素敵です!日常使いの食器のわりにはきれいな状態で残っていたんですね。私も普段はマグカップで飲んでいます。でもこんなアンティークなら気を使わずに普段使いできそうですね。さすがIWANAさんは良い物を見つけられるので関心しました。次回も楽しみです!
投稿: annie | 2009年4月 4日 (土) 21時55分
annie様
これなんぞ、とても安くて、安物の匂いプンプンで、しかしとても面白くて、想像力をかきたてて、使い方が色々あって、使い方次第で人をオドロカシテ、アンティーク感いっぱいです。楽しい事はいいことです。美しい貧乏は、やつぱり美しいです。
さて、来週あたりは、栄華を極めたハプスブルグ家をしのばせる、ウィーンの、annieさん大好きなフィッシャーマンのカップをアップする予定です。きっと、annieさん“うぃ~ん”と唸る事になるはずです。
投稿: 団塊堂主人 IWANA | 2009年4月 4日 (土) 23時30分
えーっつ!!!それは大変。嫉妬しそうです.....。
投稿: annie | 2009年4月 4日 (土) 23時46分