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2009年1月31日 (土)

オーストリア ビクトリア窯の世紀末風カップ&ソーサーと、久しぶりのオールドノリタケ考。

Victoria_003 オーストリアのビクトリア窯のカップ&ソーサーであります。1883年創業の、ボヘミア、現在のStara Roleのとても大きな工場で、最盛期には1,800人もの労働者が働き、日常陶器やらファンシーウェアを大量生産していたといいます。

大げさに語る程の物か?と本格的なアンティークカップ収集家の皆様には笑われるかもしれないが、なかなか美しいのであります。遠慮なく酷使されたソーサーの摩れなど、味わい深くて美しいのであります。メッキの様なペカペカと剥がれる金彩も、例えばハンドルなど殆んど金彩は剥がれていますが、その磨れたハンドルの風情、残った金彩が時間を感じさせてタマラナイのであります。主役の女性のポートレートの転写も日常食器としては緻密で出来の良いものであります。すべてに世紀末の退廃を感じさせてタマラナイのであります。Victoria_002 ちなみに団塊堂のキュリオケースのダウンライトの下に置くと極めて存在感があり他のカップを圧倒しています。ヒトヤマいくらといった程度の価格で落とした物ですが、素晴らしい物が手に入ったと思います。黒ずくめのゴスロリのお嬢さんなら涙を流すタグイのアイテムです。一部に黒ポツがあり年代は1910年前後か。

Victoria_004 さて、この女性のポートレートどこかで見たような気がするのです。団塊堂が見たとすれば、たぶんオールドノリタケであります。オールドノリタケの人気アイテムのポートレートシリーズに違いないと調べていますが特定できてはいません。

しかし面白い事に気が付きました。これが、かってノリタケが産業スパイもどきの方法で白磁の製法と大量生産の方法を学んだオーストリアのビクトリア製陶工場の物なのです。

オールドノリタケ・コレクターズガイドによれば、ノリタケは“ロンドンのローゼンフェルド社社長の厚意でオーストリアのビクトリア製陶工場を訪問し”白色生地の製法を学んだとあります。近頃出版されたオールドノリタケの本によれば、明治45年にノリタケの技術者二人が三週間、ビクトリア製陶工場で学んだとあります。しかし、この著者の以前の本には、二人の技術者は、ビクトリアの工場の進んだ製造方法に驚き、見学を許された数日ではノウハウを学びきれず、一人が仮病を使い寝込んで滞在を引き伸ばし、その間に、もう一人が必死でノウハウを盗んだという苦労話が書かれていた様に覚えています。

Victoria_007 さてさて、オールドノリタケのポートレートシリーズに話を戻します。左の写真はコレクター垂涎のオールドノリタケのポートレートの花瓶です。とても高価なものです。さて、肝心の女性像は転写です。Victoria ノリタケは明治の末までは外国産の転写紙を輸入して使用していました。この花瓶、裏印はメープルリーフ印とありますから、右にその写真を貼ってみました。ハンドペイント・ニッポンの文字とメープルの葉・これが明治の森村組・オールドノリタケの裏印です。転写をハンドペイントとして売っていたニッポン。しかし、今夜の団塊堂は鷹揚にもそんな事を告発するつもりはありません。

この転写にしかすぎない、しかも輸入の、ありふれた贋物の、オット出ました“贋物”の!ポートレートに、あたかもノリタケオリジナルの様に意味を持たせて“オールドノリタケに見る女性像”といった講演を聴いた事があります。パクリのバクリにしか過ぎないものを学問的?に論じたら殆んど○○です。学問的と言うならソレラノ転写紙のルーツを解明して系譜を示す事の方が本当の姿です。

さて、オールドノリタケの零細コレクターでもある団塊堂がオールドノリタケに厳しいのは、“イエスキリストは韓国人だった”式の贔屓の引き倒しがありすぎるからです。輸入した転写にしか過ぎないポートレートシリーズが人気で、最も高価であるなんて、オールドノリタケファンが他のアンティークコレクターから“ど素人”と馬鹿にされても仕方ありません。

写真左 KPMベルリン 絵付けwagner 贋物    写真右 KPMベルリン 「マリー・ルイーズ」贋物

Victoria_005 Victoria_006

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コメント

こんばんわIWANA様。昨日「Cups Saucers」と言う電話帳ほど分厚いアンティークカップの洋書が届きました。もしやと思って調べましたら、P431に同じ裏印が載っていました。ただし二重丸で囲まれていて、年代は1891〜1918とあります。もしかするとこちらのカップはそれより新しい物かもしれませんね。またP204に肖像画の下半分が、黒く塗りつぶしたような似た描き方をしたカップを見つけました。当時はこのような描き方が流行ったのでしょうか?細かい所を観察していると次々と疑問が出て来て飽きる事がありません。本物、本物!とやっきになって探して来ましたが、こんなコレクションの仕方も有りなんだと、だんだん洗脳されつつあります。ところがいざ探すとなると本物以上に難しくて。やはり以前和田先生がおっしゃっていたように、自分の「美意識」がきっちり確立されていないと出来ないことなのかもしれませんね。IWANAさんのまねをしようと何度もセカイモンへ行ってみますが、いつも疲れ果てて手ぶらで帰って来る有様です。それから今回のカップは転写だと言うことですが、一度手描きの肖像画を見てみたい。そして「ヨーロッパアンティークカップ銘鑑」P21にあるような、カップに描かれた手描きの風景画!一度でいいからこんな実物を見てみたい。アンティークカップなどという大変な奥深いものと出会ってしまって、私もIWANAさんと同じく「シアワセ」なのです。

投稿: annie | 2009年1月31日 (土) 23時48分

annie様
安物買いのIWANAですが面白いでしょう。でも、和田っちに叱られそうで、一昨日はダベンポートの少しマトモなカップを落としました。
今日、正確には昨日は、「チェ39歳別れの手紙」を観て来ました。今週はゲバラの一部二部の連続鑑賞で、団塊堂はトッテモしあわせです。

投稿: 団塊堂主人 IWANA | 2009年2月 1日 (日) 00時22分

面白く拝読いたしました。
今回のブログでわかったことは、
1.ノリタケの女性像などの人物画は転写版プリントだった。
2.手描きでないにもかかわらず、「ハンドペイント」と書いて売っていた。
3.その転写プリント紙はノリタケのオリジナルではなく、海外から輸入・購入したものだった。
4.その図柄は「マリー・ルイーズ像」に代表されるように、ボヘミアのエルンスト・ヴァーリスやホーヘンベルクのフッチェンロイターが作った贋作(ウィーン窯、ベルリンKPM等と偽って販売)を、さらにコピーした図柄で、すなわち「パクリのパクリ」だった。
5.転写紙はどこの国のどこのメーカーが作ったのか、もともとの絵柄を描いていた窯はどこなのか、などもわからず、またそのルーツを研究で明らかにもできず、ヨーロッパの磁器産業史をろくに知りもしないのに、学者面して偉そうに講演している人がいる。
ということがよくわかりました。
「エセ学者の講演をありがたがるド素人集団」とさげすまれているノリタケ・コレクターの皆さんが、一日も早く真実に気づき、汚名を返上されることを期待します。

投稿: 和田 | 2009年2月 1日 (日) 12時46分

和田先生

ワーッスゴイ・オールドノリタケ・ノリタケ!! とタダ歓声をあげるオバサンに出会う事があります。
タダのオバサンなら許されても学者を名乗るなら別です。
ましてや「権威」だったり業者だったら、イイカゲンになさい!って感じです。

投稿: 団塊堂主人 IWANA | 2009年2月 1日 (日) 20時27分

お久しぶりです。
全く 同感です。
MILLER'2008年のアンティーク プライスガイドにFLYING SWAN ROYAL WORCESTER BY C H C BALDWYNを見つけ、なるほどと思いました。
マリールイーズ像もありました。
BERLIN PLAQUE PAINTED AFTER RICHTER WITH QUEEN LOUIS GERMANY LATE 19C
アメリカの本には NIPPONのプライスガイドがありますが、MILLERには NIPPONのところがないのです。 正しい歴史を知った上で NIPPONやNORITAKEのファンになって欲しいですね。

投稿: 桃子 | 2009年2月11日 (水) 18時54分

桃子様
ノリタケの転写の繋がりや、ノリタケの絵柄の元を辿ることは、とても楽しい事です。
これを正しく調べるという行為はコレクターとしては当然です。そしてそれはオールドノリタケの価値を貶めるものではないはずです。団塊堂は今も尚オールドノリタケファンですから、できるだけ冷静に評価したいと思います。コメント有難うございます。

投稿: 団塊堂主人 IWANA | 2009年2月12日 (木) 18時38分

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