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2008年2月13日 (水)

またまた オールドノリタケ考。

陶芸家 故 加藤卓男氏は、その著「砂漠が誘う」の中で、「しかし、ここで大切なことがある。技術が特別に優れているからといって必ず美しい作品が出来るとは限らないのである。縄文式土器と弥生式土器との比較がいい例である。弥生式土器が始まるころには、技術的にははるかに進歩し形も整ってきたにもかかわらず、縄文のあのたくましい空間的なダイナミズムは影を潜め、静的で平板になってしまった。」と語っている。

先日の朝日新聞に○右衛門展によせて当代○右衛門氏が、白くなりすぎた○右衛門として、純粋になりすぎた磁胎を、どう汚していくかが課題だと書かれていた。たしかにIWANAも、窯物だけれど○右衛門のコーヒー碗皿を手に入れた時、これでは、まるで衛生陶器ではないか、まるで電信柱の碍子ではないか、と白すぎる磁胎に違和感を感じ、まるで機械作りの大量生産品の様に完成されすぎた形に興ざめしたものです。もちろん価格的にも、このランクならヨーロッパのアンティークカップの、そこそこ満足のいくものが手に入るのだから。

陶器に、少し詳しい人なら、日本の陶器は素晴らしくて、勿論、過去の中国は最高で、韓国の李朝もすばらしく、ヨーロッパ陶磁器の最高峰マイセンは景徳鎮やら柿右衛門を必死でコピーした訳で、とにかく日本の陶器はマイセンが必死でマネをしようとしてマネが出来なかったという歴史が頭にあって日本は素晴らしいと思っているわけだけれど。それは思い上がりに過ぎなくてヨーロッパのアンティークカップなどには見事な物があって何度みても心が揺さぶられる物がある。

On1 オールドノリタケに限らずアンテイークの陶磁器のコレクションを始めようという事なら、まず、和田泰志さんの「ヨーロッパ アンティーク・カップ銘鑑 実業之日本社刊」か「アンティーク・カップ&ソーサー 講談社刊」を読むべしと・・・とりわけ後者は写真が実物大でとても楽しいし価格も3,800円とお値打ち。まず此処から始めたら道に迷う事は無い・・・けれど人生を間違える可能性は大いにあって素晴らしい。

と、今日も前置きばかり長くなってしまったけれど、このオールドノリタケの花瓶の違和感はどうよ。凄いだろ? これを美しいとは言えないだろう? なんだコリャだろ?これがオールドノリタケの一つの側面でもあるのです。

ミスリード・ミスマッチ、勘違い。明治の日本そのものなのです。エジプトにしては椰子の木の辺りが妙に瑞々しい長閑な風景であったり、アールヌーボーがオレンジ色の空であったり、山がピラミッド風であったり、帆掛け舟がなんとなく和風だったりして、間違い探しを始めたらきりが無いようなものだけれど、ささやかな我がコレクションのキュリオケースのなかでは結構存在感があるのよね。これがオールドノリタケなんだぞ!って。

これが、露天の骨董市で戸板に載せられて、諭吉五枚で売られていたら、IWANAの様にカナリな馬鹿しか買わないだろうけど、我が家の美しい(笑)1930年代のニューヨークのダウンタウンの安宿をイメージした?コレクションルームには合うのよね、このクササが。

IWANA  OLDNORITAKE COLLECTION

ランドスケープ花瓶(エジプト)

裏印 グリーン M-NIPPON印

明治43年頃(1910)

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オールドノリタケコレクション」カテゴリの記事

コメント

あれ~絵文字は以前から有りました?

ならば、今日は台風並みの風が吹いてます。
アンティークのC&Sの本は本当に良いですよね。
絵付けに行き詰るとこの本を開きます。
アンティーク作品は、まるで異次元の世界で創られたかのようにユックリと丁寧に作られていて、ただただ溜息の出る思いです。
以前有田に行った時○右衛門のミュージアムを拝見しましたが、凡人が買える値段では無かった!
私は未だ外国コンプレックスの呪縛に掛かっているようで、純日本の色が余り好きじゃない、むしろマイセン等外国で真似をされて、ここにこの色が来るか!?などと思える色使いの方が好きですね。
マダマダIWANA先生の境地には程遠く、、、
修行の日々でございますぅ、、、

投稿: boss | 2008年2月13日 (水) 07時58分

boss様
やはりboss様も和田さんの「アンティーク・カップ&ソーサー」をお読みですか。
ロィヤルウースターの色絵、コールポートのジュールがIWANAを虜にしています。
でも、この関を越えたなら、この河を渡ったら、戻れない世界の様な気がして写真を眺めながらのバーチャルコレクターで踏ん張っています。

神様、IWANAに、このまま踏みとどまる勇気か、ロイヤルウースターもコールポートも買いまくるだけの富をお与え下さい。
               アーメン。

投稿: 団塊堂主人 IWANA | 2008年2月13日 (水) 23時03分

IWANA様、ご無沙汰いたしております。
その後もブログの拝読に訪問させていただいております。
いつも拙著を応援していただき、ありがとうございます。
今から十二年前のちょうど二月には、「アンティークカップ銘鑑」の写真撮影をいたしました。
カメラマンは私の弟子で、まだ二十代で若く、400枚以上の写真を宅配ピザを食べながら、深夜までかかって三日間で撮り終えました。超快速です。
私が最初のアンティークカップを入手してから、出版が決まるまで三年、ほぼ毎日一個の割で作品を買い続け、千個弱集まった中から選び出しての撮影でした。
今も珍しい作品を探し続けてはおりますが、「毎日買う」というような体力はなくなりましたねえ。
勢いというのは怖いです。
IWANA様のお住まいに近い岐阜や愛知は、日本の磁器産業・洋食器産業の歴史的中心地ですので、
どうしても岐阜地方で昔のヨーロッパ製テーブルウエア関連の啓蒙活動をしなければと長年思っておりまして、
昨年は念願がかない、多治見線沿いのある大学から呼んでいただき、
一年生を対象に講義する機会を得ました。
岐阜や愛知で育ったからといって、焼き物について知識があるというわけではないようでしたが、反応はまずまずだったと思います。
今後は一般の方向けにお話できるイベントを、岐阜地方で企画できたらいいなと思っています。
そのときは改めてご連絡申し上げます。

IWANA様、是非百年前のヨーロッパ磁器、色絵やジュールの誘惑にあっさりと負けていただき、
冥府魔道、いや、蓮のウテナで極楽浄土の彼岸にお渡りあそばしますよう切望いたします。
目の前の黒い河を渡れば、すぐに西洋アンティークカップの魔境が口を開けています。
そちらの河原で石など積み上げている場合ではございませんぞ。
ほれほれ

投稿: 和田です | 2008年2月14日 (木) 07時47分

わっわ~当のご本人がコメ!!
IWANA様は一体何者???
和田氏が仰るように冥府魔道の世界へ是非!
そして、どアップでお宝をお見せ下さい。
貧民の私はそれを見て溜息をついてみたい、、、だめ?

投稿: boss | 2008年2月14日 (木) 08時49分

和田先生、重ねてのお立ち寄り有難うございます。
狂気です、まさに狂気です。
比叡山の千日回峰行でも七年はかかるものを先生は、毎日一つづつ買い続けて千個を三年でと、まさに貴殿こそはアンティークカップ界の千日回峰行の完遂者・大阿闍梨です。
狂気と共に、なにより冷徹な資料収拾と研究で素晴らしい業績を残して戴きました。
しかし、最も凄いのは、これらのコレクションの構成の素晴らしさです。資金も無ければ出来ない事ではありますが、資金だけでは出来ない素晴らしい世界を構築されています。感服いたしております。
IWANAも師の影を追ってカエサルの様にルビコン川を渡る・・・いやいや余りに師の影は大きすぎます。バーチャルコレクターで満足です。でも、いつかはロイヤルウースターもコールポートもと。
先生の講演会など当地でありましたら是非お知らせ下さい。楽しみにしております。

投稿: 団塊堂主人 IWANA | 2008年2月14日 (木) 20時33分

boss様
IWANAは、ミネラルウオーターの様な美しい水に棲むタダのお魚です。
でも、和田先生の住む世界は黄金の魔界冥府です。
和田先生のコメントの最後の、「和田です」をクリックすると魔界に繋がります。極楽の入り口です。IWANAと一緒に、そして、はぐれない様に互いの手首を赤いロープで結んで魔界へ逝きませんか?

投稿: 団塊堂主人 IWANA | 2008年2月14日 (木) 20時51分

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