何度でも、オールドノリタケ考。
古美術に親しむようになったきっかけは思い出せない。そんなにはっきりしたきっかけはなかったであろう。ただここで私の得たものは陶酔ではなく鎮静であり、興奮ではなく反省であった。
私の中には、陶酔や興奮を何よりも求めた時期にも、静かに落ち着きたい気持ちはあった。むしろ静かに落ち着きたい要求がたえずありながら、、その要求が充たされないままに、私は陶酔や興奮を求めていたのである。 谷川徹三
たとえばこのオールドノリタケのトリオのカップ&ソーサー。古美術などと思っている訳ではないけれど、ジュール(フランス語でビジュー 宝石を模した装飾)について語ろうか、金盛りについて語ろうか、いやアイボリーウェア(象牙色の肌)について語ろうか?
冒頭の引用が高尚過ぎて、この祭りの様な賑やかさのカップを語るには恥ずかしい気もするが、陶酔や興奮を至福へと繋げたら成金趣味だろうか。太閤秀吉を君は笑う人だろうか?
金盛りだって、アシッドゴールドだって、ジュールだって勿論ノリタケ独自の技法という訳では無い、アイボリーウェアときたらマサニ豪華さを出すには白よりも柔らかな象牙色なのだというマーチャンダイジング優先の思考だろう。だがしかし、それを君は笑えるのか?
誰もが素直にこれは豪華であると思えるテクニックを、素直に揃えて当たり前のように並べて見たらそれを下品だと君は笑うのか?
もちろん私だって少し恥ずかしいから他のオールドノリタケは何度も既にアップしたけれどコレはようやく二回めで、アップでお見せするのは初めてなのです。
アイボリーウェア。ホワイトハウス御用達のレノックスといえばアイボリーウェアの代表的なメーカーで極めてオーセンテックなスタイルで好感の持てる物だけれど、世界の警察官と勘違いしたナラズモノのガンマンのアメリカ大統領のイメージとは程遠いけれど。
兎に角アイボリーウェアのレノックスはアイビーティストのテーブルウェアでトラッディショナルボストニアンのIWANAとしては憧れのグッドティストの物で、近頃は見かけないけれど20年程前にはデパートで売られていた。これを甥の結婚祝いにしたけれど当時のIWANAとしてはかなりな出費だった覚えがある。
このオールドノリタケのアイボリーウェアの微妙な色合いをバカチョンカメラで伝えられるかどうかわからないけれど、先日アップしたフラワーハンドルのC&Sのソーサーの中心部・井戸の色と花弁のエンボスの白色を比較していただくとアイボリーの色が判って戴けるだろう。
以前これをアップした際、裏印を明治41年頃としたが、良く見てみると、この裏印はマルキ印(日本)明治43年頃(1910)の物でした。
IWANA OLD NORITAKE COLLECTION ⑦
金盛りジュール アイボリーウェア
カップ&ソーサートリオ
裏印 マルキ印 グリーン 明治43年頃(1910)英国輸出向け
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