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2007年11月18日 (日)

スパイラルタワーズ

Mode_002 今や日本一景気が良いと言われる名古屋だけれど、その名古屋の玄関・名古屋駅前に、ひと際、強烈な存在感を主張するビルが来年春の完成に向けて工事中である。既に外観は出来上がっているが、工事途中のスケルトン・骨組みが露わになって居た時は今より更に壮観であった。まるでガウディが名古屋に降臨したのかと思う程、曲がりくねった鉄材で組まれた骨組は天に昇る竜のようでもあり壮観でありました。

ビルの名は、「モード学園 スパイラルタワーズ」。地上36階地下3階。一つのビルなのに何故、複数形なのかと思って調べてみたら、このビルは二つのビルが捻じれて天に向かっているのだという。写真の奥のトヨタのミッドランドスクエアーに迫る高さの超高層ビルである。まさに繁栄を誇る名古屋の21世紀の記念碑ともなるビルである。

円形でしかも捻じれて上に向かう程細くなる、シロウト眼で見ても不合理極まりない、使いづらくて造りにくい、やたらと無駄金の掛るビルだと思う。質素倹約の名古屋の風土とは対極にあるようだけれど、名古屋は金シャチの土地でもあり、近頃は「名古屋嬢」などという人種もいて、「偉大なるド田舎名古屋」は見栄と派手の歴史も持ち合わせている街なのです。しかもこのビル、銀行の融資を受けずに建てた・だからこそデザイン優先の不合理な贅沢が出来たというから驚きだ。このビル「モード学園スパイラルタワーズ」、モード学園とコンピュータのHAL、名古屋医専という三つの専門学校が入るビルなのです。

団塊の世代なら、昔、ラジオで「ファッションクッション谷まさる」という番組を聴いていたはず。キュキュキュ・キュキュキュというテーマソングで始まりデザイナーの谷まさるが軽いファッションのお話をする。提供は名古屋モード学園、もちろんこれは東京では東京モード学園、大阪では大阪モード学園であったのだろうけれど、モード学園は名古屋が発祥の地であったのです。

専門学校商法。この爆発的なブレイクも団塊の世代がもたらした物の一つだろう。圧倒的な受験生の増加に比べて大学の数が追いつかず専門学校へ流れた生徒も多く、また経済の高度成長により新しいカタカナ職業の台頭。派手な宣伝と共に夢をみた団塊の世代の多くがその中に吸い込まれていった。

当時の名古屋モード学園の定員が500名、しかし当時の状況を思い起こすと名古屋中のファッションデザイナーらしき人を全て集めてもその何分の一かであったはず。卒業生がどうなったかは簡単に想像がつく。

しかし、例えば超難関の芸大を卒業した生徒の何割が芸術家として生きられたのか、超難関の音楽大学を卒業した生徒の何パーセントがその後音楽家として生きられたのか。ぞっとするような世界だけれど誰も芸大や音大を詐欺とは呼ばないし益々権威ぶっているではないか。

デザイナーとして生きられない人が生活の為にデザイナーを養成するデザイン学校の先生を兼ねる、よくあるバターンだ。これを芸術の「ねずみ講」・デザイナーの「無限連鎖講」・「夢のマルチ商法」だと非難出来るだろうか。

友人のT君は、IWANAと同じ法学部の学生だったけれど、夜はモード学園に通い昼は大学のマスプロ教室の後ろの方で課題のミニスカートを縫っていた。かれはその後ファッションメーカーのデザイナーとして就職するが数年でやめて、いまは田舎でコンビニの店長。

高校の同級生のW君は勉強が嫌いで女好きだった。キレイな女を求めてモード学園に入りジョージ岡先生のアトリエでも働くが、間もなく田舎へかえり小さなゴム工場の経営者となった。

友人のY嬢は大会社の社長令嬢で名門女子大だった、夜はモード学園に通ったけれど、何もなかったように放送局社員と結婚。

夢を見たことは悪くはないし、夢が夢であった事は恥ずかしい事ではない。しかし夢にリアリティが有る様な宣伝は罪作りではある。しかし、それがあったから夢が見られたともいえる。

この巨大な夢のようなビル。団塊の世代の夢を食いつぶしたビルとも見えなくはない。しかし、バブル期に株やリゾート開発で潰れた専門学校グループもあったけれど、それらに比べれば、谷まさるさん、「あんたは偉い」と思う今日この頃です。

聞けば、モード学園は、東京では西新宿に東京モード学園コクーンタワーという地上50階の超高層ビルを建設中だという。団塊の世代の夢と希望を吸い尽くしたビル、いや団塊の世代の親の血と汗を吸い尽くしたビルなどと言うまい。

Mode_003_2 「不合理ゆえに吾信ず」としたのは埴谷雄高だけれど

「不合理ゆえに美しい」と滲む涙の感傷で見上げるこのビルは団塊の青春の記念碑のようでもあります。

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コメント

ブログから貴殿の枯れないエネルギーを強く感じました。木枯らしが吹き、冬の入り口に入ったとき暖かいぬくもりー同窓会!
たて!枯れつつある男!建て!新世界!

投稿: 似非常人 | 2007年11月21日 (水) 08時44分

似非常人様
久々のお立ち寄り有難う御座います。通勤電車から見る遠くの山もシルバーグレイなってまいりました。銀杏の葉も欅の葉も一気に落ちて冬本番を感じます。世間の風はますます冷たくコートの襟を打ちます。近頃は発汗発熱素材の下着を愛用するIWANAです。新世界、まさにソングオブザニューワールド、これは日本人的には暮れなずむ夕暮れの音楽であります。たそがれであります。たそがれてたそがれれきれない半生の人生のあはれ。あさってからはマタ三連休です。如何おすごしでしょうか。

投稿: 団塊堂主人 IWANA | 2007年11月21日 (水) 20時04分

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