オールドノリタケ考・ツリー&メドウ
パラダイス・楽園なのかユートピア・理想郷なのか、オールドノリタケの代表的な絵柄の一つ「ツリー&メドウ」。この水辺の景色、いかにも絵本の様な景色だけれど、そしてありふれた景色のようで日本ではまず有り得ない景色なのです。このユッタリとした水辺の景色を日本で見た事がありますか?
IWANAの、ほんの一ヶ月のイギリス滞在経験によれば、そして釣師・IWANAのイギリスの川の感想をいえば何といっても「イギリスのゆったりとした川の流れ」日本の川とはまるで違う川なのです。
深田久弥は名著「日本百名山」を著すにあたって、おおよそ1,500メートル以上を基準に「山」を選定したが、これを基準とするならばイギリスには「山」がない。ブリテン島の最高峰のベン・ネヴィスで標高1,340メートル。老年期地形のイギリスは山容もなだらかで山というより丘陵やら高原と呼ぶに近い。それゆえに川もまた急流が少なくゆったりと流れている。
ブリテン島最長の川であるテムズ河は、長さ338キロに及ぶが水源地の標高はわずかに海抜200メートル。一キロの流れに59センチの高低差しかない。これに比べれば我が愛する日本の川は全て「滝」であるといって良い。
当時IWANAは、釣を始めて8年。少し生意気になってイギリス流の毛鉤釣・フライフィッシングを始めていたのです。フライフィッシングは短い竿で重みのあるライン(道糸)をムチの様に前後に振りながらフライ(毛鉤)をポイントにキャスティング・投げ込むという釣。つまりかなり広い川幅、とりわけ釣り人の背後に何も無いかなりの広さが無いと成り立たない釣。
イギリスの「ゆったり」と流れる川を見たときフライフィッシングがどうゆう環境から生まれ、そして日本の「滝」の様な川にはまるで合わない釣だと悟ったのです。
日本の法律によれば流水の水辺の私有地は有り得ないし、増水など変化の激しい日本の川の川岸にこうした小屋が無事である事は無いのです。
という訳で、このオールドノリタケのツリー&メドウ、のどかな水辺の小屋などという景色。日本では有り得ない景色、いや過日の台風の際、多摩川あたりで見た様な気もするけれど日本のそれはブルーシートで出来ていました。
IWANA OLD NORITAKE COLLECTION ⑤
白鳥がいるツリー&メドウ カツプ&ソーサー
裏印 グリーン マルキ印
明治41年頃(1908) 英国輸出向け
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